この支出、必要経費になる?ならない?
事業を営んでいると、いつもこのテーマで悩みます。
仕事が順調にいけばいくほど、しっかり経費を計上したい。
でも無理して経費にならないものを計上して税務署から指摘を受けないかと心配にもなります。
では悩む対象はどういったものでしょう?
それは「仕事とプライベートの両方で利用しているもの」ではないですか?
これには経費にできる、できないの一定のラインがあります。
(1)事業分と自用分を区分する根拠があるケース
例を挙げると‥
・電話代、携帯電話、インターネット利用料
・車とそれに関連する費用(ガソリン代や自動車税、自動車保険など)
このような場合、実際の利用実績をもとに事業分と自用分とに分け、事業分を必要経費に算入するというのが原則です。
根拠のある割合で年間の経費の合計額を一括してバッサリ按分する方法も考えられますが、どちらにしても説得力がなければなりません。
根拠は、通話時間、車の利用時間、走行距離等々、ということになります。
要は、税務調査が入ったとして「事実はこうです」と主張して調査官に「なるほど」と言わせることができるか?です。
しかし、仕事とプライベートで別々に契約できるものは、できるだけ分けて契約するのが一番ですね。
(2)事業分と自用分の区分が無い、もしくは難しいケース
よく質問されるのがスーツ。
そうですよね、仕事で使うのですから経費になりそうなもんですが、結論はなりません。
理由は、電話代等や車とそれに関連する費用の場合、事業分と自用分とに分ける根拠はあり得ます。
しかし、スーツの場合には説得力ある根拠を見つけるのは難しいです。
そのスーツを着て何時から何時までの何時間にわたり何をしていたのか?なんて記録できません。
結局「私服」として判断されます。
ただし、仮にそのスーツに屋号や商品の名前が大きく入ってるなど、明らかに仕事でしか使えないことがはっきりしていれば、100%必要経費算入はあり得ます。
作業服や制服がそういう考え方になります。
消耗品や修繕費についての扱いについて
(1)それは修繕費で大丈夫?
固定資産を修繕したときに、結構な金額がかかってしまうときがあります。
新しい固定資産の取得でもないし、古くなったモノの修繕だから必要経費だろう。
でも、ほんとにそれで大丈夫でしょうか。
ポイントとしてはその修繕の結果、新しい機能が追加されたり、デザインが新しくなって価値が高くなったりすれば固定資産の取得と同じ扱いとなります。
外見上はモノがふえていなくても、減価償却台帳では修繕の対象となった固定資産の他にもう1項目追加になりますから注意が必要です。
要するに古くなったエアコンの取り替えや内外装工事でも、新機能の追加や新規デザインの追加があれば、固定資産の取得かどうかを検討しなければなりません。
単純に、備品などが破損して取り替えをしたのであれば修繕費となります。
(2)少額であれば消耗品?
最近は、パソコンや電気製品などもずいぶん安価になりました。
10数万円程度モノも多いですね。
まあ、ほとんどは消耗品費で全額必要経費でいいだろう、と思いきや、ちょっと注意が必要です。
取得価額10万円未満は問題ありません。これは全額必要経費でOKです。
一方、取得価額30万円以上は固定資産として計上して減価償却しなければなりません。
問題は取得価額10万円以上30万円未満のモノです。
30万円未満のモノは合計年間300万円まで全額必要経費に算入できます。
ただし、青色決算書の「減価償却費の計算」に物件の取得価額の合計額を記入し、その摘要欄に「措置法28条の2」と記入しなければなりません。
特例を受けます、という意思表示が必要という意味です。
申告書には合計額のみの記載になりますが、手元には明細を保存する必要があります。
(※なお、この特例は青色申告の承認を受けており、個人事業者の場合、常時従業員が1,000人以下の場合に適用可です)